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網屋紀行

第4回 土佐佐賀 鹿島神社大祭

~漁師の大漁と航海安全を祈願するとともに、人々の幸せと健康も祈願する佐賀地域に伝わる大祭~

3月の第1日曜は鹿島神社大祭が土佐佐賀の黒潮一番館で行われている。

最大の見せ場は子どもたちが海に向かって奉納する踊り。
鼓踊りと呼ばれる小太鼓隊は4,5才から。団扇隊は小学校高学年が務めている。

今年も8月から連日毎晩みっちり練習を積んで来た。
初参加の”新歩(しんぽ)”の晴れ姿に地元民ならずとも胸が熱くなった。
長く続いて来たこの伝統行事を更に盛り上げて行こうと、宮総代を始めとした地元有志が知恵を出し合い、数年前から女神輿も担がれるようになった。
元来不浄とされて来た子女には参加資格がなかったが、魂が入らないことで参加も可能と考えられ、今では祭りに華やかさを加える意味で欠かせなくなっている。

男神輿も昔は、鹿島から神輿が下りて来ていたが、今は鰹漁で早くから男衆が不在になるため、担ぎ手不足に陥り、今年からおなばれには台車を使う方法をとっている。

動きが勇壮な分、肉体的負荷は相当あり、若い衆でも根を上げるほどだ。
一度担いだ経験がある方にはわかっていただけるかと思うが。
引き続き、新たな活性化の一案として設けられたのが、担ぎ手の腰ひもに括られた布札。

大夫さんの手になるこの布札は、縁起物として榊とともに人々が貰って帰る事が出来るそうだ。
厄除け祈願と招福祈願とがあり、二色に分かれている。
来客が担ぎ手に声を掛け、ありがたく頂く姿が印象的だった。

この鹿島神社をいただく佐賀地域の方々は信心深い方が多く、参拝する際には、5円(ご縁)をよく奉納するそうである。
神事終了後、ご利益があると言われている5円玉袋が神前に置かれ、参拝客各々が頂戴していくのだが、この5円玉は全て賽銭箱分で賄えるそうである。

銀行を介した調達ではなく、神社の賽銭箱よりいただけることに大いに意味があるのだろう。
鹿島神社に祀られているのは、茨城県鹿島神宮のタケ・ミカヅチの命。
この神宮の紋が法被にも染めぬかれている。

鹿島大祭には「ししんま」・「はなたか」もいつも揃って登場し、厄除けに鼓踊りの子どもたちの周りを舞うのだそうだ。

えびす神社で神事が厳かに執り行われた後、タケ・ミカヅチの命の「御性根」は御神輿へ。
大衆の目に触れないように大夫の袖で隠され、運ばれる。
畏れ多い物は白日の下にさらしてはならないだ。

魂が入ると神輿はぐっと重くなり、見物人と担ぎ手の距離も一気に縮まる。
祭りはこれからが本番だ。
黒潮一番館まで台座に乗せ移動した後、屋内にて一同で再神事。
宮総代、男神輿、女神輿の代表が次々に無事を祈願した。

この後ろでは、漁協婦人部の手になるごちそうが次々と運ばれ、出番を控えた子どもたちが続々と席に着く。
「うんと食べんとちゃんと踊れんで!」と、はっぱを掛けられながら。


朱をさし、正装束に身を包んだ踊り子たちは総代衆の掛け声と共に動き出す。

朗々とした唄が屋内に響き渡り、周りの空気を神聖なものへと変えていく。

揃った足踏み、太鼓の音に曲が終わるごと割れんばかりの拍手が起こる。

紅潮した保護者の顔、無数のカメラのフラッシュの向こうに時代を超えて繋いできた祭りの意義が見えた気がした。
踊り子たちは全曲6曲を踊りきり、ご褒美の菓子袋をもらって、家族に頭を撫でてもらっている。

それぞれの誇らしげな顔や友とじゃれあう姿が何よりも印象的だった。




祭りにとってはあいにくの、こぬか雨が降り続く1日だったが、
太夫さんの言われた「お清めの雨だと思って・・・」という言葉に誰もがうなづいたように見えた。

きっと今年も佐賀の港は大漁の歓声に包まれるに違いない。

また来年も見に来よう、胸の中に熱いものが確かに宿っていた。
2010.04.14
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